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季節にそぐわない服装をする認知症の人の温度管理と体温調整

認知症の人は要注意!

無理強いはNG!本人の意思を尊重しよう

高齢者の服装は認知症チェックにもなる

高齢者の服装は認知症チェックにもなる

高齢になると皮膚感覚も低下します。体温調節機能も衰えているため、夏なのに長袖を着ている人もいますが、そう珍しいことではありません。ですが、真冬なのに冷房をつけて薄着でいたり、暑い夏に暖房をつけて厚着したりしているようなら注意が必要です。もしかしたら認知症を発症しているかもしれません。
認知症の症状には記憶障害や見当識障害があります。判断力が低下するため、暑さや寒さに対する正しい判断ができなくなってしまうわけですが、真冬に夏の服装、真夏に冬の服装、など見当違いの服装をしているにもかかわらず、不自然に思っていないなら、この症状が出ている可能性があります。周囲の人と全然違う服装をしているのに気づかないのは、判断力が著しく低下しているとみて間違いないでしょう。

無理強いするのはよくない

季節とずれた服装をしたままだと体温調節ができません。寒い冬に夏の服装でいたら体調を崩してしまうため、着替えさせようとするのは当たり前のことです。ですが、認知症の人にその対応は逆効果になってしまいます。認知症は無理に従わせようとするとストレスになり状況が悪化してしまう可能性があります。そのため、「本人の意思を尊重し、そのままにしておく」のも対応方法のひとつです。本人の意思を尊重することでプライドが保たれ、家族や周囲のストレスも半減するでしょう。
ただし、明らかに体調を崩してしまうほどの薄着や、脱水症状を引き起こすほどの厚着なら話は別です。本人に気づかれないように室温を変えたり、肌着の厚さを変えたりなどの工夫が必要です。

認知症の人に温度を伝えるには

認知症になると判断力が低下してしまうため、さまざまな情報から適切な答えを導き出すのが難しくなります。例えば、周囲の人が薄着でいたとします。暑いから薄着でいるわけですが、認知症の人は温度計の数字が理解できず、体感温度も年のせいでずれているため、「薄着」という見た目の情報だけで物事を判断してしまいます。そのため、「薄着だと寒い。暖かくするために暖房をつける」という答えになってしまい、真夏なのに暖房をつけようとしてしまうのです。
だからといって「夏だから暖房は必要ない」と伝えても正しく理解できるとは限りません。むしろ、本人のプライドを傷つけてしまいます。その場合は見た目を重視する認知症の特性をいかし、風鈴やうちわなど夏っぽい見た目の小物を用意するといいでしょう。
介護施設でも見た目から季節感を感じられるように、七夕やハロウィン、クリスマスやお正月など季節に合わせた装飾を行っています。

高齢者が心地よい環境をつくるために